僕の明日を照らして/瀬尾まいこ

僕の明日を照らして

僕の明日を照らして


久し振りの瀬尾さんの作品は今までと違って暗かったなー。
登場する人達が魅力的なところは変わらないんだけど、状況がどうも好きになれない。
瀬尾さんは今まで学校が舞台となる作品が多く、すごく好きだっただけに、今回はどうして?と思うところ。
もちろん悪くない。だけど私が個人的に好きじゃないんだよね。


私は自分が育児放棄されて育ったことを親になってから確信しました。
だから自分は子供をちゃんと愛せないんじゃないかと不安になることもあったし、
上手に子育てが出来ないのは自分がちゃんと育てられなかったからじゃないかとか、
親になってみていろいろなものと葛藤しながら息子を育てています。
私が育てられたようには絶対したくない。
ちゃんとしなくちゃいけない。
親としてと考えることも多く、非常に疲れます。


でも諦めたり、放り出したりすることも出来ない。


もっと適当でいいじゃないかと思うし、そう出来たらもっと楽しいんだろうなとも。
だけどそうしたら違うストレスも感じてしまって、もっと苦しいかもしれない。
臆病なのかもしれないけど、だったら精一杯やろうと思う。


この本を読んで、実の母親が愛情溢れる素敵なお母さんなのは救いだけど、
新しいお父さんが暴力を振るう状況はどうしても許せない。
更にその子供の気持ちが切なくて。
私もいつ帰ってくるか分からない母親を泣きながら待っていたことがあって、
電気まで止められてしまったから、本当に真っ暗で、月の明るさを初めて知ったりして、
1人で過ごす夜の長さや怖さは今でも覚えています。


私は小さい頃から夜寝ても何度も目を覚ます子供でした。
大人になってからは、年寄りだなーとからかわれたけど、
次に目を覚ましたらお母さんが帰ってきてるかもしれないと思って、
帰ってくるまではちゃんと寝られず、隣りで寝ていることを確認してようやく眠れたり。
時には朝になっても帰ってこないこともあって、
ああ、私は捨てられたんだーと思ったことも。
とにかく寂しいし悲しい。


そんな経験のある私だから、暴力を振るわれても一緒にいてほしいと思う少年の気持ちが痛い。


もしかしたら普通の家庭で育った人が読んだら、どうってことない話しなのかもしれません。
でも私には辛かった。