プラナリア/山本文緒

プラナリア

プラナリア

山本 文緒



久しぶりの山本文緒さん。短編だから読みやすかったです。これどれも好きです。敢えて言えば最後のお話は余り好きじゃなかったかな。これは主人公が男性だからなのかもしれません。その他は全て女性が主役なのです。どの人もどこか人生を捨ててると言うか、それは生き方だけのことではなくて、考え方だけって人もいるんだけど、後ろ向きと言うか、沸々と怒りは込み上げてきていても何をするわけでもなく、なのに心の中では毒づいているという、私にはすごくもどかしい人たちなんですよ。でも簡単にどうにか出来ることでもなかったりして、どうすることが良いのかが分からない。ただ、今のままじゃちっとも良くならないし、前に進めないよなとは思う。そんな人たちの話です。どの人もある時突然吹っ切れるんですよ。それがどれも好きなんです。そっか、そうするのかとどの人の決断も私は清々しく感じて、心地よく読み終えることが出来ました。いざとなったら女は強いのだ。自分が出来るかどうかは別として、それが正解なんじゃないのと思える。そんな様子を読んでいると、小さなことでもやもやしている自分がアホらしく思えました。元気になれる本です。