落下する夕方/江國香織

落下する夕方

落下する夕方

江國 香織



あとがきを読んで読んでみようかなと思い借りました。近頃の作品は余り好きではないので借りることを躊躇います。でもこれは少し前のものなので面白い作品でした。この前に読んでいた本に出てくるさとるという女性とこの本に出てくる梨果という女性がどうも被ってしまって読みながら一瞬分からなくなることが何度かありました。似ているのかな。私は健吾が好きではありません。こういう男は苦手。優しさを勘違いしている人って言うのは自分に対して優しいだけで結構回りの人を平気で傷つけていることがあります。まさしく彼はそんな人です。誰かのためと言いながら結局自分のためだったりするんですよ。本当にその人のことを思うならそんなやり方ではいけないと気が付いていないのか、気が付いていても出来ないのか。どちらにしても健吾と言う人はどうも好きになれませんでした。でもこの本の世界は何だか好きで、まったりと過ぎる時間が心地よくて、あっという間に読んでしまいました。江國さんの作品に出てくる女性はいつも冷静で潔くてカッコいい人が多いような気がします。私には絶対にない空気を持っている女性。だから憧れてしまうのかもしれません。