ビタミンF/重松清

ビタミンF

ビタミンF

重松 清



すごく面白かったです。なのに最後の「母帰る」は読みませんでした。やはり子供が出てくる話はいろいろなことを考えてしまうなぁ。自分を親の立場で読んでしまうのは少なからず親と言う意識を持っているからなんだろうけど、子育てって正解がないから難しい。だから面白いって言う人もいるだろうけど、それは窮地を脱した時に思い出す場合だけだよ。実際に直面している時にはそんな余裕はないし、往生際悪くじたばたするしかないのが私。親ってもっと堂々としているものなのかもしれないけど私は自信がないからすぐに怒ってしまうし、いいと思って言ったりやったりしたことにも次の瞬間違っていたかもしれないと思って逃げ出したくなることもある。そんな風に私自身が揺れているから子供も大変だーなんて本を読みながら思いました。こんな風になってしまうのは自分だけなのかもしれないとも思うから不安になるんだろうな。抱えている悩みは結構似てるんだけどね。

私は親に愛されたと言うことがありません。だから自分が上手に子供を愛せるのかが何よりも心配です。伝わっていないんじゃないかなと思うこともまだあります。でも私の親と私の最大に違うところは子供の優先順位だと思います。私の親はとにかく自分が1番でしたから。私は何よりも子供なんです。それはそうしなくちゃいけないと思うからではなく何も考えずにそれが当たり前になっているから。自分が親になって改めて自分は親に愛されていなかったんだなと言うことに気付いたのです。

嗚呼、なんて暗いんだ。忘れたいことなのに。



この本は最後どれも心が温かくなります。ちゃんとした結末ではないかもしれないけど、良かったと思えるものが詰まっています。短編なので読みやすいですよ。