永遠の途中/唯川恵

永遠の途中

永遠の途中

唯川 恵



唯川さんの作品は恋愛ものが多いという印象でしたが、この作品はきっと全ての女性が読めばいろいろなことを考えてしまう内容だったんじゃないかなーと思います。私の立場は結婚しているというだけで薫になるのかもしれない。薫の抱える悩みの方が私の悩みと似ているし。だから薫目線で読んでしまったかもしれない。私の夫は郁夫よりは家庭を大切にしているなーとは思ったけど私はやはり薫の立場で夫と接するから守られていることには気が付かない。でも乃梨子の言う男は妻を大切にしているの一節は心打たれました。私は家庭というものに小さい頃から憧れていたから乃梨子を羨ましいとは思いません。どうしても寂しいと感じてしまう。でも家庭を持っていても決して寂しくないわけではないのかなーとは思いました。

幸せとは誰かが決めるわけではなく、自分自身が感じるものなのだと分かっているつもりでも何かと比較することで判断している自分がいることを認める作品でした。どんな生き方をしてもいつも幸せだと感じられることはないのかもしれない。それが分かっただけでも今後の人生を楽しめるようになったような気がします。